過去と向き合う恐ろしさ
リッツは自分たち子供(リッツとリッツの実兄)の事よりも、
自身の女の幸せを重要視した母親が許せませんでした。
子供だったリッツは、義父に対して女性の顔を持った母親に、
嫌悪感を抱いていたのでした。
リッツ「私はガキだ・・・・・。」
当時のリッツは3,4歳。
母親を取られた寂しさはあったでしょうが、20歳近くまでその思いを持ち続けるのは、
単に母親に人生のほとんどを依存していただけにすぎませんでした。
母親に依存しながら、嫌悪という形で反発を表していたのです。
リッツ「中二病じゃないか・・・・・・。」
情けなくて、恥ずかしくて、惨めで、涙が止まりませんでした。
過去の事が思い出せないくらいに辛かったのは、
義理の父親に可愛がってもらえなかった事でもなく、
母親に構ってもらえなかった事でもなく、
「母に見捨てられた!」
と、勝手に思い込んでいたことだったのです。
夫を若くして失い、二人の幼い子供を育てながら、
母は生計を立てていました。
生半可な事ではなかったでしょう。
そんな母が、女性としての喜びを求めることに、
いったい誰が異を唱えるのでしょうか?
そして母も、私に依存させることで私に依存をしていたのです。
共依存。
レノンリー「一人暮らし、したらどうや?」
母親と共依存をしながら生きてきた人生を、レノンリーに文章で送った後、
彼がポツリとリッツに言いました。
レノンリー「丁度イイ塩梅の家を一軒持ってるんや。
管理する人間がいてくれると助かる。」
そんなこんながあって、リッツの一人暮らしはトントンと話が進みました。
リッツ「お母さん、アタシ、家出ようと思うねん。」
リッツ母「そう・・・・・。」
母は黙ってリッツに必要なものを一緒に買いに行ったりしてくれました。
忙しくしているうちに、リッツが家を出る日が明日になりました。

リッツ(安西律子)

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