「志命」を出す その3
Sの木編 1
レノンリーは立派なスピーチ机を部屋の中央に設置しました。
レノンリー「Sの木氏、目を閉じて想像してください。
貴方には成し得たい事があります。
貴方は、地球で一番初めに皆に選ばれた、地球大統領です。
国境、言葉、人種、人類と言う垣根さえも超えて、
人間、動物、植物が、貴方の掲げた目的に賛同しました。
アナタの人生は決して楽なものではありませんでした。
多くの挫折を味わい、何度も人生を諦めようともしました。
しかし、それらは全て、今のアナタの肥やしとなりました。
自分の中に荒ぶる神が眠っているのを知りました。
自分一人の力では、到底成すことは出来ない大きな太志を知りました。
全ての生命に選ばれた、地球の代表として、
初めてのスピーチを皆の前で行います。
そんな未来のアナタは、貴方の言葉を聞きに来た世界中の生命に、
一体どのように語りかけますか?
・・・・アナタの準備が整ったら、ゆっくりと前に出てきて、
はじめてください。
時間制限はありません。」
Sの木氏「・・・・・・分かりました。」
彼の声が震えていました。
とてつもなく緊張しているのでしょう。
それから待つ事数分。
その間、誰も何も話さず、彼の準備が整うのを待ちました。
Sの木氏「・・・・・準備出来ました。」
レノンリー「本日は、地球初の全生命の代表である、Sの木氏に来ていただきました!
皆様、盛大な拍手でお迎えしてください!」
全員拍手。
中々話し出せないSの木氏。
レノンリー「良いねんで。 思った事を言ったらいい。」
Sの木氏「・・・・・・・・・分かりました。」
Sの木氏「本日お集りの皆さん、私が世界大統領のSの木です。
私を選んでいただいて本当にありがとうございます。
本当に、嬉しく思います。」
と彼は率直に皆に感謝の意を表しました。
Sの木氏「今でもなぜ自分が、この地球の、世界の代表なのか・・・・。
信じられません。
何故なら僕は、取るに足らない本当にちっぽけな人間だからです・・・・・。」

リッツ(安西律子)

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