「志命」を出す その7
O皮氏編 その3
O皮氏「お金お金お金。
君の家はお金持ちで良いね。
しょせん君の悩みなんて金持ちのぜいたくな悩みだよ。
友人に相談しても最終的にはこのように言われます。
でも私は、お金なんて要らない。
温かい家族が欲しい、心許せる友人が欲しい。
心からそう思いました。
ただ、現実は厳しくてお金が無ければ生きていく事も、学校に行く事も出来ません。
勿論、私は両親の稼いでくるお金で生活し学校に行ってしました。
お金の利害で一緒に居る両親。
あ、今は違いますよ。
今は二人ともとても仲良くなっています。
ただ、当時は私にお金が必要だから、
両親は仕方なく一緒に居るんだ・・・・・。
そう思ってしまったのです。
それでも縋らないと生きていけない矮小な自分。
相談できる友人も居らず、妹には心配をかけたくありませんでした。
誰にも胸の内を話すことは出来なかった私は、
ある時、優等生の仮面をかぶり続ける事が出来なくなったのです。
大声で泣き叫びながら家に中にある物を投げまくっていたのです。
それまで私は両親に反抗どころか、手を煩わしたことすらありませんでした。
両親は大変驚き、そしてひどく傷ついた顔をしました。
それでも自分を止める事が出来ず、
私の中で少しずつ積もり積もった何かが、一気に爆発してしまったのです。
私は精神を安定させる薬を飲んだり、治療をしたりしました。
確かに改善はするのですが、それは根本的な解決ではありません。
そんな時に私は「武学」に出会ったのです。
そして「武学」を学ぶうちに、私は一つの事に気が付いたのです。
私はいつでも誰かの為にと思って自分の人生を生きてきました。
しかしその実、私は何も持っていない空っぽ人間だったことに・・・・・。
自分のしたい事や本当に目指したいモノに目を向けず、
親の気に入る子供になろう、
友達に好かれる人物になろう・・・・。
そう考えているうちに、本当に自分の思っている気持ちやを抑え込み誤魔化すようになっていたのです。
私の孤独は私自身が創っていたことに、
気が付いてしまったのです。」

リッツ(安西律子)

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