壮絶なレノンリーの再生 その3

 

 

リッツ「そんなん、死にたくなるやん・・・・。」

レノンリー「何度も死にたいと思った。 俺なんぞ生きてる意味ないって、

このプログラムを実行する前に、

自分でもやってみたんや。」

 

リッツ「そうなんだ・・・・・。」

レノンリー「自分でやって結果の出ない事を、人に伝えることは出来ないからな。

最終、気が付いたら家の裏の山で目が覚めた。

どうやら3日間昼夜山の中を走り回ってたらしい。

 

リッツ「3日間??」

レノンリー「余りにも壮絶やったから、初めは記憶があいまいで、

全身ボロボロ、服もドロドロ。 声は枯れてて涙と鼻水で顔はグシャグシャ。

全身筋肉痛で、立ち上がれなかった。」

 

リッツ「何をしてたの?」

レノンリー「数日たって記憶が戻ってきた。

俺は逃げてた。 逃げながら叫んでた。

・・・・・・ごめんなさい。 許してください。 殺さないでください。」

 

リッツ「・・・・殺さないでください?」

レノンリー「・・・・・・兄貴が俺を追いかけてきた。

耳をふさいでも兄貴の声が聞こえる。」

 

リッツ「何か言ってるの・・・?」

レノンリー「俺を許さないって・・・・。」

リッツ「え??」

 

レノンリー「俺は兄貴に約束した。

絶対に助けてやるって。

でも、死なしてしまった。

それを恨む声や・・・・・。」

リッツ「そんなこと、あのお兄さんが言う訳ないやん!!」

 

レノンリー「俺も頭では分かってる。 俺の創り出した幻影やってことは。

自分にホトホト嫌気がさして崖から飛び降りようとしても、

兄貴の声。

山を下りて逃げようとしても、兄貴の声。

 

3日3晩、おれは兄貴の幻影から逃げまくってた。」

リッツ「そんなん気ぃ狂うやん。」

レノンリー「狂っとった。 狂っても兄貴の声が聞こえんねん。

まるで地獄のようやったわ。」

リッツ「・・・・3日目にどうなったの?」

 

レノンリー「声が聞こえなくなった。

志ごとに生きる決意と、世界中の人間に志を伝える事を、

命がけで達成する。

それを死ぬ思いで誓ったら、聞こえなくなった。」

 

リッツ「・・・・・・・・・。」

レノンリー「俺は3日間命乞いをしてた。 殺さないでくれって。

兄貴を助けてやれんかったのに、俺は死にたくないって思ってた。

 

俺は最低な人間や。

兄貴の幻想を創り出して、命乞いをして・・・・・。

でも3日目の朝に気が付いた。

俺は、死にたくないんじゃなくて、死ねなかったんや。

 

誰の為でもない。

それは俺自身の為にな。」

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リッツ(安西律子)

「武学」を学んではや10年以上・・・・・。 その間に仕事を辞め、結婚をし、 現在は子育て真っ最中です。 私自身が観た視点で、「武学」や、それに関連することなどを、 面白おかしくわかりやすく、お伝えできたらと思っております。 よろしくお願いいたします。

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